なじょんしょば

99年式GSX1300R、自作オーディオ、カメラに関するあれこれ

トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版(追補)

他のアンプとの比較

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トランス式USB DAC TpAs-2S Ver.6DJ8全段差動PPミニワッターと並べてみました。
2台のアンプの電源スイッチやボリュームの取り付け高さが偶然にも概ね揃っています。これは狙って設計したわけじゃなく、写真を撮ってから気が付きました。
しかしこうして並べてみるとタカチのEXSケースはカッコ良いなぁと。私の今後の定番アンプケースになりそうな予感がします。

製作期間

2019年10月19日にアンプ基板の製作を始め、すべての組立が完了したのが2020年3月1日でした。ですので製作期間は4.5ヵ月ほどでしょうか。
ケースの設計を開始した時期が不明なので、もしかするとアンプ基板の製作に先立って設計していた可能性もあるので、これを含めると実際の製作期間はもう少し長いかもしれません。
これが早いのか遅いのかは分かりませんが、私にとっては標準的なペースだと思います。

エージング後の音質

視聴環境は以下のとおりです。

通電しっぱなしで1週間ほど放置すると低域もそこそこ出るようになり、ますます見通しの良い音になってきたように思います。上から下まで満遍なく綺麗にといった感じでしょうか。
ぺるけ氏の作品らしく、心地よくずっと聞いていられる安心感のある音だと思います。
敢えて比べるとすれば、表現が難しいのですが情熱的というか躍動感は6DJ8全段差動PPミニワッターの方が一歩有利のように感じます。まあ、単に聞き慣れている音に対する愛着があるからなのかもしれませんが。
また、ぺるけ氏の作品なので使い込むうちに音がどんどん良くなる可能性が非常に高いので、長期使用することでまた印象が変わってくる予感がします。

なんだかこう書くとトランジスタ式ミニワッターの音質はそんなに良くないのか!?と受け取られるかもしれませんが、決してそんなことはなく十分に素晴らしいものだと思います。
自分の中に音に対する基準が持てていないので、短期使用での音に対するレビューが苦手なだけです。また、今まで作ったぺるけ氏の作品で気に入らなかったものは一つもありませんし、使い続けるうちにいつの間にかその音から離れられなくなっているぐらいです。
また、そもそも所有しているアンプはぺるけ氏の作品しかないので、他のアンプと比べてどうのこうのと意見を述べる立場ではありませんでした。

部品調達

2SK170-BL以外はすべて自分で調達しました。使用した部品は以下のとおりです。(価格は2020年3月8日調べ)

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画像をクリックすると拡大画像が参照できます。
以下、下側の表のグレーアウトしているものはの補足です。

  • 放熱器にシリコーングリスを塗布しない場合は放熱ラバーシートを使って下さい。
  • KOAの抵抗器はメーカの価格大幅改定により千石電商ではタクマンのものに切り替わっています。
  • KOAの抵抗器は秋月電子でも一部購入可能です。

マルツ電子は近所の店舗を利用しましたが、それ以外の購入先はすべて通販を利用しました。1NU41はヤフオクを利用しましたが、現在は同じものが買えるかどうか分からないのと、偽物をつかまされるリスクがあります。
また、単価は購入数量で変動するものもあります。さらに1個単位で購入できないものもあるので、この合計金額ですべての部品を揃えられるわけではありません。

下表に各部品の購入先のリンクを用意しておきました。一応確認はしましたが、リンク間違いやリンク切れ、最新情報ではないものがあるかもしれません。下表のリンクを通販に利用する場合、部品の型番とリンク先の表示内容とが一致しているかをよく確認して下さい。(リンク先は2020年3月8日調べ)

品名 型番
JFET 2SK170-BL
小型トランジスタ 2SA950-Y
小型パワートランジスタ 2SA1359-Y
小型パワートランジスタ 2SC3422-Y
パワートランジスタ 2SB1375
パワートランジスタ 2SD2012
高耐圧ファストリカバリ・ダイオード 1NU41
一般小信号ダイオード 1S2076A
9V高感度リレー 941H-2C-9D
25回転半固定抵抗器 3296W-1-100LF
1%級金属被膜抵抗器1/4W型 MFシリーズ
1%級金属被膜抵抗器1/2W型 750Ω MF1/2CC7500F
5%級金属皮膜抵抗器1W型 0.47Ω MOSX1CR47J
5%級金属皮膜抵抗器1W型 0.68Ω MOSX1CR68J
5%級酸化金属皮膜抵抗器1W型 12Ω MOS1C120J
5%級酸化金属皮膜抵抗器2W型 220Ω MOS2C221J
5%級酸化金属皮膜抵抗器2W型 270Ω MOS2C271J
ポリエステルフィルムコンデンサ 0.15μF 50V 50F2D154J
6Pトグルスイッチ MS-500FB
TRSジャック(絶縁・SW付) 不明
インダクタ 100μH 1A LHLC10NB 101K
ディップマイカコンデンサ 33pF/500V DM10C330J5
ディップマイカコンデンサ 100pF/500V DM10C101J5
ポリエステルフィルムコンデンサ 0.022μF/50V 50F2D223J
メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 0.47μF/100V TS03Q02A474JSB0B0R
積層セラミックコンデンサ 10μF/25V RDEC71E106K2K1C03B
アルミ電解コンデンサ 100μF/10V 1AUTES101M0
アルミ電解コンデンサ 220μF/10V 低ESR 1AUTWRZ221M0
アルミ電解コンデンサ 2200μF/16V 1CUTES222M0
アルミ電解コンデンサ 3300μF/16V 1CUTES332M0
スパークキラー 0.1μF+120Ω 125MCRA104120MDP B0768
ユニバーサル基板 IC-301-74
ヒートシンク M3めねじ付き 16P16L25
ヒートシンク用スペーサ 不明
オルタネイト型プッシュスイッチ(青) LAS2-16H-E DC12V Blue
ボリューム 50kA2連 RK27112A
ツマミ φ25×15mm 25X15BS-7
LED φ3, 緑 LSLED-BG301
ジョンソンターミナル(赤) MB-126-G(RED)
ジョンソンターミナル(黒) MB-126-G(BLACK)
RCAジャック(赤) RJ-2008BT/R
RCAジャック(白) RJ-2008BT/W
DCジャック 2.1mm MJ-40
ACアダプタ DC19V/2.64A LTE50ES-SW-3190A
ケース セミオーダー EXS141-71-249 SS
品名 型番
放熱ラバーシート TO-220H
1%級金属被膜抵抗器1/4W型 RLCシリーズ
1%級金属被膜抵抗器1/2W型 MF1/2CC7500F
5%級酸化金属皮膜抵抗器1W型 0.47Ω RLF1SJ 0.47Ω
5%級酸化金属皮膜抵抗器1W型 0.68Ω RLF1SJ 0.68Ω
5%級酸化金属皮膜抵抗器1W型 12Ω RLF1SJ 12Ω
5%級酸化金属皮膜抵抗器2W型 220Ω RLF2SJ 220Ω
5%級酸化金属皮膜抵抗器2W型 270Ω RLF2SJ 270Ω

上記部品の中で特に2SK170-BLと1NU41は入手がとても難しいです。
しかし、ぺるけ氏のHPには1NU41の代替えとして「放熱器の面積が25平方cm以上を確保できるのであればUF2010も使えます」と書いてありますので、UF2010の使用を検討するのもありかと思います。
ただし、上記文章の放熱器は2mmのアルミの平板で作ることが前提です。今回使った放熱器=ヒートシンクの表面積は1つ42平方cmもあるので一見するとUF2010の使用に耐えると思ってしまいそうですが、このヒートシンク2個と2mmのアルミの平板で作った表面積25平方cmの放熱器が同等の放熱性能があるかは計算もしくは実験してみないと分かりませんのでご注意を。放熱器の体積も放熱性能に影響するファクターです。

2SK170-BLは価格が高騰しているのを無視すれば入手可能ですが、選別してバイアス特性が揃ったものを用意しなければならないので、自前で用意するのは現実出来ではないです。
ですので、ぺるけ氏の部品頒布を利用させて頂くのが最良なのですが、現在ぺるけ氏は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症され、部品頒布の大半を停止せざるを得ない状況になってしまいました。

私が2SK170-BLを入手できた顛末

先ほど2SK170-BLの入手は難しいと書きましたが、私が入手できた顛末は情けないのですが、以下のとおりです。

2019年7月6日(土)00時07分19秒にぺるけ氏が掲示板でミニワッター汎用シャーシの供給停止の告知を発表されました。私は平衡型6N6P全段差動プッシュプル・ミニワッターを作る予定があったので、急げとばかりにこの発表の50分後に頒布希望のメールを出しました。

そして2019年7月6日(土)08時30分45秒に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症報告と、「手の動くうちに入手困難な部品をできるだけ多く配りたい」とのコメントがあり、同日の夕方に自力で入手不可能な平衡型6N6P全段差動プッシュプル・ミニワッターに使用する2KS117-BLと2SK30、トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版に使用する2SK170-BL、Rコアトランスの頒布希望をメールを出しました。
しかし私はこの時は自分の事しか考えておらず、その後に頒布依頼が殺到するぺるけ氏やご家族の負担への配慮を欠いてしまっていました。まるでコロナウイルス対策で「我先に!!」とマスクを買い求めるような恥ずかしい行為だったと反省しています。
また、ぺるけ氏は著書「真空管アンプの素」で部品頒布を公言していますので、「できるだけ多くの人に」というのは書籍を購入して真空管アンプを作ってみようと思っていた矢先の人たちを最優先したものだったのでは!?と後から思いました。

そして2019年7月11日(木)には部品頒布対応が中止となります。おそらたった数日間で100件を超える申し込みがあったものと思われます。これは想像を絶するものでした。
7月末に2SK170や2SK117のみの限定頒布が再開されましたが、3日間で50件の申し込みがあるなどしてあっという間にパンク状態になってしまいました。これほどまでに頒布の依頼が集まるとは、一体今までどれだけ多くの人がぺるけ氏の作品を作ったのでしょうか。きっととんでもない人数なんだと思います。
それでもぺるけ氏は無理して半導体セットを用意した結果、わずかに動いていた右手も痛めて動かなくなってしまったそうです。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は筋肉を動かすための神経に異常が発生し、手足が動かなくなり、やがて声も出せなくなり、最終的に自発呼吸ができなくなる難病です。数ヵ月後に自分で車が運転できなくなり、箸も持てなくなり、キーボードも打てなくなるという状況を自分に当てはめると、発症したことを知りながら部品頒布に応える器量は自分にはないと思います。
そんなわけで今回2SK170-BLを頒布していただけたことには、ただただ頭が下がる思いです。

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