なじょんしょば

99年式GSX1300R、自作オーディオ、カメラに関するあれこれ

東洋硬化 フロントフォークインナーチューブチタンコーティング

紹介

さて、サスペンションと言えばオーリンズですが、そのインナーチューブは金色に輝いています。この金色の正体は窒化チタン皮膜で、所謂チタンコーティングとして一般的に広く知られています。
チタンコーティングはイオンプレーティングという処理を施す事によって得られるのですが、フロントフォークに施工すると耐摩耗性が向上したり摺動抵抗の低下によりサスペンションの作動性が向上すると言われています。

通常フロントフォークは硬質クロムめっきが施されていますが、私のハヤブサのフロントフォークは長年の使用によりそのクロムめっきが部分的に剥がれしまいました。
そこで再クロムめっきのついでに前述のチタンコーティングを施す事にしました。

バイク屋さんと相談した結果、再クロムめっきとチタンコーティングの両方を施工できる東洋硬化さんに加工を依頼する事にしました。
東洋硬化さんによると窒化チタン皮膜以外もコーティングできるようで、そのラインナップは以下の通りです。

 ジルコレモン(Zr / Hv2000)
 ピュアパープル(Ti・Al / Hv3000)
 ゴールドチタン(Ti / Hv2300)
 バイオレット(Ti・Al / Hv3000)
 チャコールブラック(Cr / Hv3000)
 マーングラデーション(Ti・Al / Hv3000)

最初は巷で流行っているDLCコーティングの色に近いチャコールブラック(酸化クロム皮膜)で注文を出しました。色味もそうですが硬度がHv3000とかなり硬いことも選択した理由です。
が、後日このコーティングは現在注文を受け付けていないとのことで、詳しく聞くと「コーティングが剥がれる事象が発生した」とのことでした。

黒いインナーチューブに憧れていただけに非常に残念でしたが、剥がれの不安が付きまとうのでは仕方がありません。
と言う訳で無難にゴールドチタンを選択。普通の窒化チタン皮膜なのでオーリンズのフロントフォークなどに採用されているものと同じです。見た目がちょっとケバケバしくなるのが嫌だったのですが、チャコールブラックが選択できない以上は仕方が無いといったところです。
もしかするとバイオレットが良い雰囲気の仕上がりになるのでは!?と思ったのですが、Web上では鮮明な画像が見つけられず、ここは冒険をせずに定番をセレクトすることになりました。
まあ定番ですのでその性能は折り紙つきかと。窒化チタン皮膜は切削工具の世界では超メジャーですしその性能に間違いはないでしょう。

話は変わりますが、DLCコーティングとイオンプレーティング(窒化チタン皮膜)のどちらが優れているのか!?と思われる方もいらっしゃると思います。
東洋硬化では以下のような見解を示していました。

窒化チタン皮膜に比べDLCコーティングの方が当然硬度が高い。しかし硬度が高い=脆いとなるので、フロントフォークの様な荷重を受けてしなる部材に使用した場合は、母材のしなりに追従出来ずに皮膜が剥離してしまう可能性がある。
また、平滑度もDLCコーティングの方が優れており摺動抵抗も低いが、DLCコーティングは平滑過ぎてスティックスリップ現象を起こしやすく、これはフロントフォークの動きにとって非常に有害である。

随分と要約しましたがこんなことが書いてあったように記憶しています。
私のつたない工学的見地からしても納得できる部分が多く、東洋硬化の肩を持つ訳ではありませんが、サスペンションにはDLCコーティングよりもイオンプレーティング(窒化チタン皮膜)の方が向いているような気がします。

話が長くなってしまいましたが仕上がり具合はご覧の通りです。

イメージ 1


イメージ 2

想像していたよりも濃い金色でした。
このあたりのケバケバしさは好みの分かれるところ。また、他の部分が銀色なのでやはり黒系のコーティングの方がマッチしていたかもしれませんが、チャコールブラックを選択できなかったのであきらめざるを得ません。
ちなみにくすんで見えるのは手垢のせいです(苦笑)

イメージ 3

丁度オーリンズのフロントフォークが店内にあったので撮影してきました。
やはりこちらの方が薄い色合いです。ジルコレモンを選択していればこのオーリンズの色調に近い色合いになったかもしれません。

コーティングの話に特化してしまいましたが、今回は再クロムめっきもお願いしています。
東洋硬化では寸法や錆を確認した上で、めっき剥離・研削・曲がり矯正、バフ掛けの後に再めっきを施し、その後に研削・バフ掛けの仕上げを行っているとのこと。
しっかりとした工程を組んでフロントフォークが再生されるので安心できます。
また、ただ単に再めっきをするとフロントフォークの直径が狂ったり再めっきした部分が簡単に剥がれたりと、硬質クロムめっきの再めっきというのは非常に難しいと私は考えています。ですので技術も品質もしっかりとした業者に出す事をお勧めします。

気になる価格ですが、Web上で価格を調べてみると以下の通りでした。

 イオンプレーティング:22,000円/本(ゴールド以外は4,000円アップ)
 再クロムめっき:12,000円/本(同時施工じゃない場合は16,000円/本)
 アンダーブラケット着脱:8,000円/本(倒立フォークで必要)

と言う事で1本42,000円です。アンダーブラケット着脱を自分もしくはバイク屋さんが行えば価格が変わりますが・・・。
最近ではイタリアTNK社からチタンコーティング済みのインナーチューブが発売されており価格が1本約40,000円です。アンダーブラケット着脱の工賃を含めなければ東洋硬化さんにお願いした方が安く上がる計算になります。

インプレッション

残念ながらまだ試走していないのでインプレッションはできません。
また、フロントフォークはOHしているので単純にチタンコーティング前後での比較のしようがないのでインプレッションは割愛させて頂きます。

'16.03.27追記

アクセス履歴を見ると当Blogではこの記事が一番アクセスが多く、気になる方が沢山いらっしゃるようなので、施工して2年経過した時点での状態をご報告します。

イメージ 4


イメージ 5

夜間に撮影した写真なので分かり辛いですが、走行距離5,200kmで丸2年使用しました。一応ハンドルを持ち上げてフロントフォークを2cmほど伸ばした状態で撮影しています。
ご覧の通りコーティングが薄くなったり剥がれたりといった兆候は見られませんので、耐久性は純正コーティングと同等以上は確保されていると思われます。

チタンコーティングによるフロントフォークの作動性向上もおそらく気になる点だと思いますが、インプレッションでも書いたとおりOHとフォークシールを交換しているのでチタンコーティングのみの効果は良く分かりません。
ただ、施工+OH後に乗った際には高速道路でフロントフォークが良く動いているなという印象がありました。従ってチタンコーティングをして悪くなることはないと思います。

注意事項

これらの記事には私の推測や不確かな情報も含みます。ご紹介したものの中にはメーカ廃盤のものもありますのでご了承下さい。
また、整備不良は生命の危険に直結する恐れがありますので自己責任でお願いします。