なじょんしょば

99年式GSX1300R、自作オーディオ、カメラに関するあれこれ

デサルフェーター(学習編)

    はじめに

Googleなどで「バッテリー復活」などと検索すればナノパルサーなどのバッテリー再生延命器がヒットすると思います。お値段8,000円ちょっとで弱ったバッテリーが元気に!!という商品ですが、イロイロ調べていくうちにどうやら自作できるらしいことを突き止めました。

 

 

そして国内ではバッテリー回復DIYパルサーとういHP(今は閉鎖)でデサルフェーターの原理や製作方法が詳しく解説されていたそうです。

 

デサルフェーター自体は数年前に流行ったものらしく、アーシングコンデンサチューンなどのマユツバ系DIYチューンとみなされているような感じも受けます。
しかしアーシングコンデンサチューンと決定的に違うのは、デサルフェーターはエネルギーを発生させてバッテリーに作用するので能動的であること。故にそれなりにリスクのあるものだと言う認識が必要かもしれません。

 

さて、デサルフェーターとはサルフェーションを解消するものという意味の造語らしいのですが、サルフェーションとは一体何なんでしょうか?

 

バッテリー(鉛蓄電池)は放電するとその負極板表面に硫酸鉛(PbSO4)の結晶が析出します。これをサルフェーションと言い、電気を通さない性質を持つ硫酸鉛が電極を覆うと、電極の通電できる面積が減る=バッテリー容量の低下という事態に陥るようです。
また一度析出した硫酸鉛は溶けにくく、バッテリーの寿命はこのサルフェーションが原因であることが多いとのこと。

 

しかし、デサルフェーターによりバッテリーに数kHzの繰返し周波数で10~30V程度のパルス電圧を印加すること、通常では溶けない硫酸鉛を溶かすことが出来るらしいです。
何故溶けるかというと「バッテリーの電極板が共振電流によって振動することにより物理的衝撃が電極板に与えられ、その結果、電極板に生成された硫酸鉛の被膜が分解される」とのことですが、信憑性のほどは分かりません。
この辺りがマユツバと言われる所以なのかも。

    オリジナル版の考察

ではオリジナル版のデサルフェータを詳しく見てみましょう。

 

イメージ 1

【パルス電圧発生部分】
この回路でQ1:MOSFETをONするとL1:インダクタ(トロイダルコイル)に電流が流れ磁界が発生します。
そしてQ1をOFFするとL1:コイルに発生している磁界の影響で逆起電力が発生し、これがパルス電圧となってバッテリーに印加されるようです。

 

L1には比較的大きな電流が流れるので選定に当たっては電流値の大きな物を選ぶ必要があります。インダクタンスの大きさも発生するパルス電圧に影響するように思うのですが、この辺りは調べ切れませんでした。同様にC4:電解コンデンサもパルス電圧に影響しそうで、日本国内では100μF⇒470μFへチューンしている方々がいらっしゃるようです。

 

Q1の特性としては、耐圧60V以上、ON抵抗が低くターンオフ時間が短い物が望まれます。ターンオフ時間が長いと鋭いパルスが生成できず、高いパルス電圧を作れない可能性があります。

 

D1:ダイオードもパルス電圧を発生させる為に必須の部品で、この部品は逆回復時間が短いファストリカバリーダイオードを使用する必要があります。また、順電流もそこそこ大きい必要があり選定には注意が必要です。

 

【FET駆動部分】
Q1はU1:NE555により駆動されていますが、これはタイマーICと言われるICでそこに接続されるR1:抵抗、R2:抵抗、C2:コンデンサにより下図のT1、T2を調整することができます。

 

イメージ 2

計算式は、

 

T1=0.693*(R1+R2)*C2
T2=0.693*R2*C2

 

となります。
つまりこのオリジナルの回路では、

 

T1=750μs
T2=34μs
f=1.276kHz
Duty=4.1%

 

と言う計算になります。

 

T1が短ければf(動作周波数)が上昇しますが、一説によれば2kHz程度が良いとされています。しかしそれとは反対に市販品であるナノパルサーは10kHzですし、もっと高い方が良いという説もあります。
結局どれが正しいのか分かりませんが、いずれにせよD1の逆回復時間が絡んできますのでD1のスペックが動作周波数の上限となるでしょう。

 

T2はQ1のON時間なので、T2が長ければL1に電流を流す時間が増えます。つまりL1にたくさんのエネルギーが蓄えられるので発生するパルス電圧も大きくなるのですが、L1に蓄えられるエネルギーにも限度があり、あまり長くしすぎると磁気飽和を起こして大きな電流が流れ、最悪の場合回路を破損させてしまいますので注意しましょう。
また、T2の増加とともにL1、Q1、D1の発熱も増加します。

 

【その他の部分】
C1:電解コンデンサは回路のリプル電流吸収用なのでそれほど大きな容量は必要ないのかもしれません。
R4とC3はQ1のダンピング抵抗とスピードアップコンデンサになります。C3を大きくするとQ2のターンオフ時間が短くなりますが、このあたりは使用するQ1とのマッチングを図る必要がありそうです。
R4はQ1の仕様に応じて選定する必要があるのですが、私が調べた範囲ではQ1は多種多様であったにもかかわらず、そのゲート電圧は概ね同じ仕様であったため全て330Ωとなっていました。

 

L2:インダクタ(チョークコイル)、R3:抵抗はノイズ防止・回路保護用と思われますが、選定基準はイマイチ分かりませんでした。
世の中にはトリクル充電可能なデサルフェーターを考案された方もいるようで、そのような回路の場合はL2の電流値も大きくしないとダメかもしれません。

 

以上がオリジナル版デサルフェーターの構成です。
しかし、電気系技術者でない私の解説ですので、内容の正しさについては保証しかねます。参考程度にして下さい。

    注意事項

これらの記事には私の推測や不確かな情報も含みます。また、最悪の場合火災を招く恐れがありますので自己責任でお願いします。