なじょんしょば

99年式GSX1300R、自作オーディオ、カメラに関するあれこれ

FET式差動バランス型ヘッドホンアンプ(基板製作編)

  はじめに

ここ最近はぺるけ(木村 哲)氏6N6Pシングルミニワッター6DJ8全段差動PPミニワッターなどの真空管アンプで遊んでましたが、いつかきっとと思いながらもなかなか腰が上がらなかったFET式差動バランス型ヘッドホンアンプの作成にチャンレンジすることにしました。
そもそも私のオーディオ自作歴はFET式差動ヘッドホンアンプから始まり、その究極が今回のFET式差動バランス型ヘッドホンアンプだと思っていたので、今まで作ってきたヘッドホンアンプ達よりも感慨深いものがあります。
また、2012年に発表された作例はラグ板2階建てという製作に超絶技巧を求められる作品だったのですが、2017年にユニバーサル基板での製作方法が発表され、これなら自分でも作れる!!と思えたこともきっかけです。

 

更に6DJ8全段差動PPミニワッターの記事にも書きましたが、近年はオーディオ自作環境が急速に悪化してきているため、気が付いたら部品が入手できない!!という事態になる前に動こうという思惑もありました。なのでぺるけ氏には6DJ8全段差動PPミニワッターの部品と同時に頒布をお願いしており、4月中旬には部品が揃っていました。

 

毎度ながら本当にありがとうございました。という事でぺるけ氏への感謝の意味も含めて今回も製作の様子を紹介します。

  急がば曲がれ

自分で実装を設計していないものは、実装図から回路図を起こしてどのような実装になっているとのかを把握してから作りなさいとぺるけ氏も仰っています。
ということで実装図と回路図をにらめっこしながらまずは実装の理解に務めます。ん~なるほどーと感心しつつ、完全に理解できたところで製作開始。

 

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まずは基板にジャンパ線を這わせることがら始めます。その際には印刷した実装図のジャンパー線に蛍光ペンでマーキングすることを激しく推奨。自分を過信して手抜きをすると必ず失敗します。
尚、ジャンパ線にはホームセンターで普通に売っている0.28mmの銅線を使用しました。オーディオ配線は無酸素銅がどうのこうの・・・などと言うコダワリは私には無いので普及品を使用します。

 

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やっとの思いでジャンパ線の取り付けが完了。
たかが銅線を這わすだけだと思うなかれ。意外と本数が多くて更に細かい作業なので骨が折れます。柔らかい銅線を基板に密着させてかつ真っ直ぐに這わすというのは実は難しいことだと身を持って経験しました。

 

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そしてはんだ付けを先行できる部分はやっつけてしまいます。
ジャンパ線を通した穴の部分はほぼはんだ付けできますが、一部そうでない部分もあるので要注意。
ちなみに今回初めてタカスのユニバーサル基板を使いましたが、この基板のパターンのはんだ濡れ性のとても素晴らしいこと。はんだがスーッと広がっていくので気持ちが良いです。

 

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そしていよいよ部品実装。
ここでもいつものように両面テープを貼った紙の上に使用する部品を並べ、さらにテスタで抵抗値をチェックして間違ったものをピッキングしていないか確認しておきます。
これも毎度の作業ですが、やるとやらないではこの後の作業性が天と地ほど違うので絶対にやった方が良いと思います。

 

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部品は基板に垂直に挿してリードを曲げずにはんだ付けしていくのみなので、ジャンパ線の取り付けと違って非常に簡単です。
振り返れば今回の最大の山場はジャンパ線の取り付けだったような・・・。

 

まずは電源部の部品のみを実装し、15VのACアダプタを繋いで電源部が正しく動作することを確認します。電源部単独なので負荷が少なく規定の電圧よりも高めに出ますので、HPの回路図に記載された電圧と違う!!などと慌てないように。
ここで電源部が正常に動作することを確認出来ていれば、以降のトラブルは絶対にアンプ部に問題があると断定できるので、後のトラブルシューティングが非常に楽になります。

 

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電源部のお次はアンプ部のLチャンネル側の部品を実装。
しかしさすがバランス型アンプ。Lチャンネル側のみだとういうのにこの部品点数です。それもそのはず、この状態でFET式差動ヘッドホンアンプ1台分とほぼ同じですから。

 

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ここでも転ばぬ先の杖ということで、Lチャンネル側アンプの動作確認です。
特に調整箇所はないので、ぺるけ氏の規定電圧に入っていなければ必ずどこかでミスを犯しているということになります。
今回は幸いにもミスはありませんでしたが、ミスしたときの冷や汗をかくあの感覚は嫌なものです。そして大抵はそのミスがなかなか見つからないという・・・。

 

ただし、ぺるけ氏の設計は電源ラインに抵抗が入っていたりして過大電流が流れにくいよう配慮されているので、実装ミスで部品が壊れるということも少ないように思います。
むしろテスタ棒でショートさせて部品を壊してしまうパターンの方が多いかもしれません。
そんなわけでみの虫クリップやICクリップを活用してなるべく基板にテスタを当てなくて済むようにするというのも良い自衛策かと。

 

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Lチャンネル側が問題なかったので、最後にRチャンネル側の実装を開始。
抵抗が倒れないように、そしてトランジスタやFETの高さが揃うようにと気を使いながら黙々と部品をはんだ付けしていきます。
ケースに入れてしまえば見えなくなるとは言え、やはり部品は整然と並んで実装されていた方が気持ち良いですから。

 

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と言うことで基板の完成です。
これでFET式差動ヘッドホンアンプ2台分。やはりラグ板と違って非常にコンパクトですね。
FET式差動バランス型ヘッドホンアンプの2012年バージョンはラグ板2段重ねの実装ですが、アレを思うと随分と製作しやすい実装になったな~としみじみ思いました。2017年バージョンが発表されて製作難易度がグッと下がった結果、FET式差動バランス型ヘッドホンアンプの製作にチャンレンジする人が結構増えたのでは!?と個人的には思っています。