なじょんしょば

99年式GSX1300R、自作オーディオ、カメラに関するあれこれ

平衡型6N6P全段差動PPミニワッター(基板製作編)

はじめに

今回は平衡入力の真空管アンプに挑戦。その名も平衡型6N6P全段差動PPミニワッター。原典はまたもやぺるけ氏の作品です。
6N6Pシングルミニワッターを製作した際に平衡型6N6P全段差動PPミニワッターの存在を知り、このアンプに憧れを感じて秘かに自作真空管アンプのゴールに定め、いつかきっとこいつ作ってやるぞと思いながら自作オーディオを楽しんできました。
そのため、6DJ8全段差動PPミニワッターFET式差動バランス型ヘッドホンアンプの製作はこの平衡型6N6P全段差動PPミニワッターを製作するためのスキルアップの側面を持ち合わせており、とても良い勉強なったと思っています。また、これらの経験がなかったら完成までにもっと多くの苦労と期間を要しただろうと思います。

ぺるけ氏も仰ってますがこのアンプの製作難易度は非常に高いです。ぺるけ氏のHPの製作ガイドも他のミニワッターの記事に比べて最低限の内容に留められており、全段差動PPミニワッターの製作経験がない方がこのアンプに挑戦するのは無謀ですのでご注意を。

電源基板の製作

まずはぺるけ氏のHPの製作ガイドを熟読し、回路図と平ラグの実装図をにらめっこしながら部品実装の理解に務めます。また、実装図を印刷してジャンパ線を蛍光ペンでなぞり、平ラグにジャンパ線を取り付けた直後にはんだ付けできる部分に目印をつけるなど、可能な限り製作ミスが減るよう下準備をしておきます。

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その後、実装部品をピッキングして準備完了。もちろんいつものようにA4の用紙に部品の型番を記入して両面テープで部品を貼り付け、抵抗などはテスターで抵抗値を確認しています。これで部品のつけ忘れや付け間違い、型番・抵抗値違いはかなりの確立で減らすことができます。
尚、ぺるけ氏のHPの製作ガイドには電源基板は6N6P全段差動PPミニワッター2012 V1(最新版ではない)と同じと書かれていましたが、分圧抵抗の値が微妙に異なり、6N6P全段差動PPミニワッター2012 V1は47KΩ、平衡型6N6P全段差動PPミニワッターは56KΩとなっています。
私は製作当初は47KΩを用意していたのですが、この違いに気が付いて慌てて56kΩを買いに行きました。が、後からリプルフィルタ後段の電圧を計算してみると、47kΩでも56kΩでも大差ないことが分かり、自分の浅はかさを思い知らされました。

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完成状態はご覧のとおりです。

以下、製作に関する補足情報です。

  • ジャンパ線は1/4W抵抗のリードの切れ端を使用。
  • 手持ち在庫の関係で整流ダイオードは1NU41を使用。
  • 入手性の関係で2W、3W抵抗はKOAの小型タイプを使用。※
  • MOS FETは2SK3563を使用。
  • 配線はすべてKV 0.3sq又はUL1007 AWG22を使用。
  • スペーサは樹脂製の長さ10mmのものを使用。(写真は金属製で後に交換済み)
  • スペーサ取付ビスはM3×6-P2 座金組込み十字穴付きなべ小ねじ 真鍮+ニッケルメッキを使用。
  • ヒートシンク取付ビスはM3×6-P2 座金組込み十字穴付きなべ小ねじ 真鍮+ニッケルメッキとスプリングワッシャ+ナットを使用。

※ 本当は通常サイズの青色のものを使いたかったが、千石電商の通販は10個単位でしか購入できず我が家の不良在庫になる可能性が高かったので、近所のマルツで単品購入できるものにした。

アンプ基板の製作

最初の手順は電源基板と同様です。

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それにしても平衡型だというのに部品点数が少なくてビックリ。これも差動入力+OPTという構成が成せる技でしょうか。平衡出力と不平衡出力を両立させる場合、トランスは本当に便利なものだと思います。

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1500pFのフィルムコンデンサは抵抗一緒に平ラグに差し込むため、リードをこのように加工しておくと抵抗と接触せず綺麗に実装することができます。

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まずは上下それぞれの平ラグの実装を完了させます。
ジャンパ配線は内側に曲げてラグ板に沿わせるようにしました。こうすることでラグ端子に接続する配線との干渉を回避しつつ、またラグ板の下敷きになるスピーカやヒータ配線でジャンパ配線が潰されて変形しないよう考慮しています。
また、私はDCバランス調整用の半固定抵抗を別基板にして平ラグと分離することにしたので、半固定抵抗の代わりに配線をはんだ付けしてあります。

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SK117BLは1.2mm径の銅線で熱結合しておきます。使用した接着剤は2液タイプのエポキシボンドです。

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平ラグは大抵反っているのと、ケースのビス穴の位置が結構シビアなので、ケースに取り付けた状態で平ラグの上下を結合することをオススメします。イメージとしてはケースのビス穴、ラグ板のビス穴、スペーサの3要素の芯出しをする感じでしょうか。
この後、ケースから2階建てになったラグ板を外し、上下を繋ぐジャンパ線をはんだ付けします。

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アンプ基板とケース底板のクリアランスはご覧のとおり。各実装部品の高さは15mmを超えないように注意して下さい。

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完成状態はご覧のとおりです。ちなみに私は上側をRchにすることにしました。理由はリアパネルのスピーカー端子の上側がLch、下側がRchなのでそれに合わせたかったからです。

以下、製作に関する補足情報です。

  • 2SC1815YはhFEを測定して選別し、167と171のペアを使用。
  • フィルムコンデンサトランジスタ、FETの実装高さは15mmを超えないこと。
  • 2SK117BLは1.2mm径の銅線で熱結合。コレも含めて実装高さは15mmを超えないこと。
  • 平ラグ上の配線はすべてKV 0.3sq又はUL1007 AWG22を使用。
  • 半固定抵抗基板への配線はKIV 0.18sq又はUL1007 AWG24を使用。
  • 平ラグは上下を結合させる前に、ケースに取り付けてスペーサの芯出しをしておく。
  • 下側樹脂スペーサは長さ10mm、中間は長さ20mmのものを使用。
  • 両端のビスはM3×6-P2 座金組込み十字穴付きなべ小ねじ 真鍮+ニッケルメッキを使用。
  • 中央のビスはM3×10 なべ小ねじ ポリカーボネートを切断して6mmの長さにして使用。
  • 平ラグの上下のジャンパ線は0.45mm径の銅線を使用。

半固定抵抗基板の製作

半固定抵抗基板は秋月電子のユニバーサル基板Cタイプから切り出して製作することにしました。

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寸法はご覧の通りです。
カッターで基板に切れ込みを入れて、板チョコのように勢いよくパキっと割って基板を切り出しました。

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ユニバーサル基板を切り出した後にビス穴を開け、半固定抵抗を差し込む穴に目印をつけておきます。

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完成状態はご覧のとおりです。
配線用端子は0.28mm径の銅線で作りました。強度的な観点から本来は0.45mm径の銅線を使いたかったのですが、ユニバーサル基板のスルーホールに半固定抵抗のリードと0.45mm径の銅線を同時に挿入することが出来なかったので妥協しました。

以下、製作に関する補足情報です。

  • 基板は秋月電子のユニバーサル基板Cタイプから切り出し。
  • 配線用端子は0.28mm径の銅線を使用。
  • スペーサは樹脂製の長さ15mmのものを使用。
  • ビスはM3×6-P2 座金組込み十字穴付きなべ小ねじ 真鍮+ニッケルメッキを使用。

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