なじょんしょば

99年式GSX1300R、自作オーディオ、カメラに関するあれこれ

FET式差動バランス型ヘッドホンアンプ(ケース加工・組立編)

  久しぶりのセミオーダー

これまでぺるけ氏考案の作品はその作例に従ってタカチのHEN型放熱ケースを使用していましたが、FET式差動バランス型ヘッドホンアンプ2017年バージョンの作例は基板のみでケースの使用例はありません。
そして巨大な4連ボリュームや前後にXLRコネクタがあることから、どうにもHEN型放熱ケースには収まりそうにもありません。
ん~困ったということで、何故か自宅にあったタカチのカタログをパラパラめくって最適なケースを物色。仕事では紙媒体のカタログよりもWebカタログを参照することがほとんどで、このように紙媒体のカタログをめくるというのは懐かしくも新鮮でした。

 

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そして目に留まったのがフリーサイズアルミ押出材ケースのEXSシリーズです。
幅141mm×高51mmのフロントパネルをチョイスし、奥行きはきりの良い250mmにしようと思いましたが、250mmから金額が上がるので泣く泣く249mmという中途半端な数字に。まあ言わなきゃ分からないんですが気持ちの問題です。
色はパネルが前後のパネルがシルバーで中央がブラックのBSカラーをセレクトし、自身の作例に前例のないチョイスとしました。果たしてコレが吉と出るか凶と出るか!?

 

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早速CADで各コネクタの実装位置を検討し、厚紙で作ったフロントパネルに実際の部品を取り付けて仕上がり具合を確認します。パネル単品で比較してもアレなので、自分の中では割とフロントパネルのレイアウトバランスが比較的良いと思っているHPA-12ヘッドホンアンプと並べてみます。
結果、最初に作ったものは電源スイッチとボリュームノブが中央に寄り過ぎていてイマイチに感じたので却下。

 

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次に電源スイッチとボリュームノブの位置を外側にそれぞれ2.5mm移動し、かつ下方にも2.5mm下げ、電源スイッチとボリュームノブとXLRコネクタの中心軸の高さが一致するように改良。
悪くはないのですが、何となくボリュームノブがフロントパネルのセンターに来ていないと嫌だったので、

 

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最終的に電源スイッチもボリュームノブもXLRコネクタもフロントパネルのセンターに移動し、このレイアウトで作ることに決めました。
しかし結構悩んだ挙句に最終的に超無難なレイアウトになるというこのセンスのなさ。いくつ作ってもこのフロントパネルのレイアウトデザインは苦手です。

 

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ケース内部の方もCADで計画した位置に部品を仮置きしてみます。
ケース背面のXLRコネクタと基板の間隔が狭く、逆に4連ボリュームと基板の間隔にまだ余裕があったので、基板の取り付け位置を5mm前進させることにしました。
外観と違って内部レイアウトの決断は早いのです(苦笑)

 

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これらの検討結果を反映したものがこちらです。

 

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いつものように穴位置を印刷した紙を加工物に貼り付け、センタポンチの代わりに0.8mm径のドリルで穴あけ位置のセンターに凹みを掘っておきます。

 

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そして文明の利器ボール盤でサクッと加工。いやはや楽に正確に作業が進むこと。もはやボール盤抜きの生活は考えられませんね。ここでは普通の生活にボール盤は使わないだろ!!という意見は却下(笑)

 

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まずはフロントパネルの組み立てですが、電源ランプの輝度をHPA-12ヘッドホンアンプと揃えるためにLEDに直列に繋がる抵抗をとっかえひっかえし、ぺるけ氏指定の3.3kΩから1.8kΩへ変更しました。

 

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リアパネルのXLRコネクタでアースを取るためにLチャンネル側の1ピンとケース側のアース端子を銅線で繋げています。また、XLRコネクタを固定するナットの座面はケースとの導通を確保するためにリューターを使ってアルマイトを剥がしています。

 

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そして各部品に予め配線をし、ケースを組み上げていきます。
ケースに組み込んだままはんだ付け出来るものと出来ないものがあるので、予め配線をはんだ付けしておく部品はどれがいいのか良く検討しておいた方が後から慌てなくて済みます。

 

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その際に一工夫ということで、フロントパネルのXLRコネクタからの配線を基板に後からはんだ付けできるよう、銅線で基板側に配線を巻きつけられる端子を作っておきました。

 

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と言うことで組み立て完了です。
ちなみに後の修理のことも考えて配線はある程度余裕を持たせた仕上げとしています。

 

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ヘッドホンのバランス化改造が終わっていなかったのですが、折角完成したのだから出てくる音を聴いてみたいというのが人情というもの。そんなわけで無理矢理アンバランス入力&出力で試聴。
エージングが済んでいないのでザラ付いた音でしたが、それでも完成した実感が得られてテンションが上がります。が、とてもFET式差動ヘッドホンアンプのような聴いていて気持ちの良い音ではありませんでした(笑)

 

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外観はご覧の通りです。果たしてBSカラーが正解だったか!?と問われると正直微妙です。そのうち無難なSSカラーのヘッドホンアンプを作って比較してみるのも面白いかも。

 

肝心の音についてですが、エージングが進むにつれて音の荒さも消えていき、FET式差動ヘッドホンアンプと同じ傾向の音色を奏でてくれます。
ぺるけ氏も仰っていますが低音はかなり量感があります。そして空間的な広がりというか立体感のようなものも感じ取れました。FET式差動バランス型ヘッドホンアンプを聴いてからFET式差動ヘッドホンアンプを聴くと何となく平面的な音に感じてしまいます。
今後のエージングでまた感想が変わる可能性もありますが、80時間程度のエージングでは女性ボーカルの伸びというか響きはFET式差動ヘッドホンアンプにあるような気も。ただしFET式差動ヘッドホンアンプも使い込むうちにより聴き心地が良くなっていたので、今後の変化を楽しんでいきたいと思います。

  '19.10.27追記

FET式差動バランス型ヘッドホンアンプを使い続けて3か月が経過しました。主にトランス式USB DAC(TpAs-203 Ver.)バランス化改造したMDR-CD900STを組み合わせて常用していますが、出てくる音はだいぶ落ち着きとても心地よい音楽を奏でてくれます。
また、製作当初は低音が出過ぎのように感じましたが幾分マイルドになったように思います。

 

たまにFET式差動ヘッドホンアンプに切り替えてみたりもしますが、やはり物足りなくなってFET式差動バランス型ヘッドホンアンプに戻してしまいます。FET式差動ヘッドホンアンプの出来が悪いわけではないのですが・・・。
この差を言葉で表すのはなかなか難しいのですが、FET式差動バランス型ヘッドホンアンプの方が空間の広がりを感じられ、一つ一つの楽器の音が良く聞こえるような気がします。

 

しかし、FET式差動バランス型ヘッドホンアンプは部品点数が多く製作難易度が高いですし、いきなりこんな音に出会うのはある意味不幸なので初心者には決しておススメしません(笑)