なじょんしょば

99年式GSX1300R、自作オーディオ、カメラに関するあれこれ

6N6Pシングルミニワッター(後編)

  通電・確認

嬉しい事にミニワッターに調整箇所はありません。楽でありがたい話です。

 

イメージ 1

と言うことで電源を投入して各所の電圧を測ってアンプが正常に動作しているかを確認するわけですが、そこは流石の真空管。ご覧の通り場所によっては直流265V以上の電圧が掛かっている部分があるので作業は慎重に。
適宜ICクリップやみの虫クリップを活用したり、テスターのリード棒にテープを巻いて先端だけ露出するようにし、意図せぬ接触でショートさせないようにするなのどの対策を講じてはいかがでしょうか。

 

各部の電圧はご覧のとおりです。

 

イメージ 2

書籍に掲載されている値を基準とした場合、両チャネルとも総じて低い値になっていますが、左右の差はそれほど大きくありません。また、ぺるけ氏の掲示板の過去ログを調べてみたところ、6N6Pはこれぐらいのばらつきがあることも判明したので問題なしと判断しました。
ちなみに参考になる書き込みのURLは下記のとおりです。

 

 

また、ぺるけ氏によれば「出力段の動作がそろうことを優先し、初段の動作が揃うことはあまり重要ではない」とのことです。この書き込みのURLは下記のとおりです。

 

  ケーシング

それでは完成後の姿を紹介したいと思います。

 

イメージ 3

底面はご覧のとおりで通気孔のあるフタとゴム足が備わっています。
底板は1mmのアルミ板なので強度が低く曲がり易いので注意しましょう。職業柄、板金部品の設計は沢山しましたが1mm厚のアルミ板は使った事がなくその軽さにはかなり違和感がありますが、曲げ荷重が掛かるような場所ではないのでまったく問題ないと思います。

 

イメージ 4

 

イメージ 5

ノブはHPA-12ヘッドホンアンプなどで使用しているφ20のアルミ削り出し品です。
書籍で使用している大型のプラスチック製のノブはディスコンだそうで同程度の外径のアルミノブを探したのですが、近所のマルツには残念ながら売っていませんでした。

 

個人的にはボリュームの取付位置がもう5mm右側に寄っていれば、電源スイッチやヘッドホンジャックとのレイアウトバランスが良かったのになぁと思いました。

 

イメージ 6

 

イメージ 7

背面の一番左側のRCA端子は入力端子で上がLch、下がRchです。
赤黒の端子はスピーカ端子で上2つがLch、下二つがRchで少し変則的なレイアウトですが、入力端子のL/Rchの位置関係と同じになるようにした結果です。

 

真ん中に取り付けてあるトグルスイッチは、このアンプにインピーダンスが8Ωのスピーカーを接続する場合はスイッチを上へ、インピーダンスが4Ωのスピーカーに接続する場合はスイッチを下に倒します。
私の使用しているスピーカーのインピーダンスは6Ωでトグルスイッチをどちらに倒すが悩ましのですが、ぺるけ氏のHPに書かれていたアドバイス従い4Ω設定としました。

 

トグルスイッチの固定に使用しているワッシャーはステンレス製のM5ワッシャーですが、そのままでは内径が小さくてトグルスイッチが入らないため、やすりで内径を少し広げました。

  音出し

試聴環境はご覧のとおりです。

 

イメージ 8

PCでWAVファイルをfoober2000(WASAPI)で再生し、トランス式USB DACを使ってアンプに接続しています。
スピーカーはDALIZENSOR 1でこのアンプを使うために買いました。

 

イメージ 9

ちなみに真空管に通電すると内部のヒーターが赤熱してほんのりオレンジ色に光ります。想像よりも発光具合が弱いでしょうか!?まあ電球じゃないのでこんなもんだと思います。もっと大型の真空管なら違うのかもしれませんね。
また、発熱はそれなりにあって手をかざすと暖かい熱気を感じることが出来ますし、真空管の表面を触ると火傷しますのでご注意を。
出力たった1Wのアンプでこれですから、20Wとか30Wクラスの真空管アンプの発熱は夏場なら辟易しそうです。その点でもミニワッターは扱い易いように思います。

 

そしてまずは無音状態。スピーカーも無音でこれはアンプから出るノイズが非常に少ない証拠。ボリューム全開にすると流石に「サー」という音は聞こえますがそれも僅かで、「ブーン」というハムノイズは皆無です。

 

そしてワクワクしながら音楽を再生すると、最初のうちは低音がスカスカで中高音域が妙に厚いサウンド。若干聴き疲れする音でしたが使い始めて2日間ほど経過する頃には程よいバランスの音に。
アンプとスピーカーのどちらも新品なのでこれからエージングが更に進めばもっと変わっていくと思いますが、現時点でかなり満足しています。

 

このスピーカーの特徴なのだと思いますが、小さいスピーカーなので低音はそれほど得意ではないようです。そのかわり中高音の響きがとてもよく、女性ボーカルやアコースティックギターの響きが素晴らしい。たまにゾクッとします。

 

さて、このとても古いデバイスを使ったしかも出力1W未満のとても小さな真空管アンプ=ミニワッターですが、その大きさに似合わず私の試聴環境では十二分な音量が出るので出力が足りないということは皆無です。また、深夜にボリュームを絞ってデスクトップというニアフィールドで小さな音量で鳴らしても十分に楽しめます。

 

この「美味い、安い、早い」の3拍子を体現したかのようなミニワッター。こんな素敵な遊びができるのもミニワッターを開発し、書籍の発行し、部品の頒布して精力的に活動されているぺるけ(木村 哲)氏のお陰で、この場を借りてお礼申し上げます。

  '19.08.06追記

このアンプとZENSOR 1のエージングも進み、さらにスピーカースタンドを追加したことで現在では素晴らしい音楽を奏でてくれるようになりました。
音に厚みがあり、さらに夏場は発熱の少ない6DJ8全段差動PPミニワッターの方をどうしても活躍させ気味ですが、静寂の中から立ち上がる女性ボーカルにゾクッとくる感じは未だに6N6Pシングルミニワッターに軍配が上がるような気がします。また、何か作業をしながらニアフィールド環境でBGM的に鳴らす場合もに6N6Pシングルミニワッターの地味さがちょうど良かったりもします。

 

ディスクリート半導体が枯渇し入手性が著しく悪くなってきたこのご時世ですが、6N6Pシングルミニワッターに使用する半導体は整流回路のダイオードとリプルフィルタのMOS-FETぐらいです。これらは指定品も代替品も容易に入手できるので、まだ当面の間は自作を楽しむことが出来そうです。
それにしても部品の入手性によりまさか半導体アンプよりも真空管アンプを作る方が容易になる時代が来るとは思ってもいませんでした。そういった意味でも6N6Pシングルミニワッターは稀有な存在だと思います。