なじょんしょば

99年式GSX1300R、自作オーディオ、カメラに関するあれこれ

6DJ8全段差動PPミニワッター(後編)

  内部配線

内部配線はまずは真空管ソケット周りから着手しました。

 

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ぺるけ氏の実装の方が合理的な気もしますが、抵抗をビシっと整列させたかったので縦ラグをフル活用するレイアウトにしました。
また、アンプ部に繋がる配線は後からでははんだ付けできないのでご覧のように最初に取り付けておきました。

 

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続いてヒータ配線です。
電源トランス~真空管ソケット~電源スイッチLEDまでの配線はぺるけ氏の作例どおりです。
少し応用を利かせてトランス~バスブースト用トグルスイッチ~ケース正面のLEDといった具合に配線を繋ぎ、バスブーストスイッチをONにするとケース正面のLEDが点等するようにしてみました。

 

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使用したLEDは頒布してもらったPG3889Sで電源スイッチのLEDと明るさを合わせるために電流制限抵抗は680Ωとしました。また電源スイッチと同様にダイオード1個で半波整流する方式を踏襲しています。

 

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続いてスピーカ端子、ヘッドホンジャック、トランス一次側~真空管ソケットの配線を取り付けます。なかなかカオスな状態になってきました(汗)
トランス一次側~真空管ソケットの配線はぺるけ氏の作例と違って私のオリジナルです。

 

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写真では分かりにくいのでRch側の配線の模式図を描いてみました。各配線が分岐・合流しつつねじらなければならないのでかなり頭が混乱します。
しかしこのあたりは前作とほぼ同様なので過去の経験が活かされました。やはり経験の積み重ねは大事だとここで改めて実感(笑)

 

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前作と同様にヘッドホン出力用の抵抗を縦ラグに取り付けますが、今回はL・Rで縦ラグを独立化。そして縦ラグを介してケース内配線とトランスから出ている配線を繋ぐことで、トランス二次側の配線作業を容易にすることを目論みました。

 

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ヘッドホンジャック周りはご覧の通り。6N6Pシングルミニワッターと同様です。

 

※ 当初掲載した写真はヘッドホンジャックにはんだ付けする黒2本と灰2本の配線がLchとRchで逆になっていたので修正し、写真を差し替えました。('20.07.31修正)

 

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4Ω/8Ω負荷切り替えのトグルスイッチ~スピーカ端子までの配線はご覧の通りです。
今回はスピーカー配線の浮きをどうしても抑えることが出来なかったので、白いプラスチック製の貼り付け型配線固定具を使用しました。

 

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ボリュームを取り付け、真空管ソケット周りの配線を完成させます。
ぺるけ氏はアース母線(真空管ソケット間のコの字に曲げた銅線)を割と早い段階で取り付けていますが、私は6N6Pシングルミニワッターのときに作業のし辛さを感じたので今回は終盤の取り付けにしてみたところ、作業が非常にやり易くて大正解。これはオススメです。

 

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電源部を取り付け、通電して+と-電源が生きていることを確認します。この確認作業で電源部のジャンパ線が1箇所洩れていたことが発覚しました。ご覧の通り+電源は190Vぐらいになるので感電にはくれぐれもご注意を。

 

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最後にアンプ部を取り付け、各配線をはんだ付けして内部配線は完了です。
6N6Pシングルミニワッターとは違って内部は割りとぎっちり。なので製作は大変ですが、その分達成感も大きいです。

 

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OPT(出力トランス)の16Ω線は先端をテープで絶縁し、OPT間に丸めて無理矢理収めておきました。

 

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真空管を挿してアンプに電源を投入し、アンプが温まったところでDCバランスを調整します。

  外観

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外観の仕上がりはご覧のとおりです。
天面のバスブーストスイッチと4Ω/8Ω切替スイッチのレイアウトはぺるけ氏の作例をそのまま真似しました。正面パネルにバスブーストのインジケータランプがあるのが唯一のオリジナリティを発揮した部分でしょうか。
ちなみに天面のスイッチの固定には右側面のテストジャックに付属していたワッシャーを転用したところこれがまた実に良い感じに。ナイスな廃品利用が出来ました。

  音出し

試聴環境は以下のとおりです。

 

ソース:WAVファイル
再生ソフト:foober2000(WASAPI)
DACトランス式USB DAC(TpAs-2S Ver.)
スピーカー:DALI ZENSOR1

 

6N6Pシングルミニワッターとの比較になりますが、まず最初に低音が豊かになったのがはっきりと認識できました。押し出しが強いというか、音の厚みは6DJ8全段差動PPミニワッターに軍配が上がります。
そんな訳で6N6Pシングルミニワッターの方が地味な音に聞こえますが、その分ボーカルが際立って聞こえるのでこれはこれで良いです。
アンプを製作する前から分かっていたことではあるのですが、やはりそれぞれに良さがあって優劣を付けられるものではないという予定通りのオチでした(笑)

 

バスブーストの効果についてですが、DALI ZENSOR1では不要かなと思います。バスブーストで確かに低域が持ち上がるのは分かりますが、私の試聴環境ではON/OFFの差は微妙で、OFFのときの方が音のバランスが取れているような気がしました。
もっと小さなスピーカーに繋ぐか、バスブーストの定数を変更すれば体感出来る効果も大きいのかもしれませんが、低域の量感アップに対して過大な期待を持たず、一振りのスパイス程度に思っておいた方が良いです。

 

ぺるけ氏も絶賛しているヘッドホン出力についてですが、これはかなり良いです。6N6Pシングルミニワッターはなんだかガヤガヤした感じのする音で常用する気にはなれませんでしたが、6DJ8全段差動PPミニワッターは分厚く濃い音が出てきます。
音の押し出しの強さやクリアさはHPA-12ヘッドホンアンプに分があるような気がしますが、かといって音にベールがかかっている感じや耳に付く五月蝿さはなくとても聴き心地が良い感じです。また同じぺるけ氏設計のFET式差動ヘッドホンアンプとも違ったサウンドで、クリアだけども暖かくこってりしています。

  '19.10.22追記

少し説明が不足していたので補足します。
6DJ8全段差動PPミニワッターにはいくつかバージョンがあるのですが、今回製作したのは6DJ8全段差動PPミニワッター2017です。

 

DCバランスは初回、1週間後、1ヵ月後にチェックしましたが、それほど大きくズレていることはなく安定しているようです。ですので、神経質に定期的にチェックすることはしていません。

 

6N6Pシングルミニワッターとの使用比率は3:7で、6DJ8全段差動PPミニワッターの方が使用頻度が高いです。
日常は6DJ8全段差動PPミニワッターを、自室で長時間作業する際には6N6Pシングルミニワッターを使うことが多いように思います。ニアフィールドでBGMとして音楽を鳴らす場合、6N6Pシングルミニワッターの方が地味で優しく心地よいように感じます。
ただ、これは個人の嗜好の問題なのでどちらが優れるとかいう話ではありません。そしてどちらを作っても満足できる音が出てくるのは間違いありません。