完成状態
あらゆる面にコネクタやスイッチが増設され、厳つい外観のミニワッターに仕上がりました。これを重厚と捉えるか、ゴチャゴチャと捉えるかは人それぞれの好みかと。
また、天面のスイッチは手前に倒すとスピーカ、奥に倒すとヘッドホン出力に切り替えられます。
DCバランス調整用の半固定抵抗をケース側面に移動したのは大正解。面倒な加工が増えますが、これはオススメです。
他のアンプとの比較
写真左から6N6Pシングルミニワッター、6DJ8全段差動PPミニワッター、平衡型6N6P全段差動PPミニワッターです。こうして並べてみると6N6Pは真空管が大きいので見栄えがするように思います。
また、発熱は6DJ8全段差動PPミニワッターが一番少なく、平衡型6N6P全段差動PPミニワッターが一番熱くなります。なのでデスクサイドにミニワッターを設置した場合、夏場は6DJ8全段差動PPミニワッターが人に優しいです。
製作期間
2020年5月30日にアンプ基板の製作を始め、すべての組立が完了したのが2020年7月12日でした。ですので製作期間は1.5ヵ月ほどでしょうか。ただし、製作前にケースや半固定抵抗基板の設計で1~2ヵ月ほどかかっていると思います。
参考までに6DJ8全段差動PPミニワッターは長時間作業できる時間が取れたのもあって2週間ちょっとで完成、トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版は4.5ヵ月かかっています。
やはり真空管式ミニワッターは部品点数が少なく、かつ加工済みのケースが用意されているというアドバンテージがあるので、総じて製作期間は短く済むような気がします。
試聴
視聴環境は以下のとおりです。
- ソース:WAVファイル
- 再生ソフト:foober2000(WASAPI)
- DAC:トランス式USB DAC TpAs-2S Ver.(LCフィルタ)
- スピーカ:DALI ZENSOR 1
- ヘッドホン:SONY MDR-CD900STバランス化改造品
半導体アンプと違って真空管アンプはエージングしなくてもそこそこ良い音を奏でてくれるような気がします。それでも1週間ほど使い続けることでさらに見通しの良い音になりますが。
さて、苦手な試聴レビューですが、6DJ8全段差動PPミニワッターに通ずる豊かな低域、長時間でも聴き疲れのしない中高域でぺるけ氏の作品らしい心地良い音だと思いました。
と言っても、そもそも所有しているアンプはぺるけ氏の作品しかないので、他のアンプと比べてどうのこうのと意見を述べる立場ではありませんが。
また、平衡型は音に立体感が出ると言われていますが、確かにそのような感じがしまたし、平衡型6N6P全段差動PPミニワッターを聞いた後に6N6Pシングルミニワッターを聞くと音が平坦に感じました。
でもやっぱり艶っぽさは6DJ8全段差動PPミニワッターの方が一歩有利!? 地味な音質だけど静寂の中から立ち上がるボーカルにゾクッと来る感じはに6N6Pシングルミニワッターの方が一歩有利!?
と、それぞれに良いところがあって甲乙付け難いです。
ヘッドホン出力もなかなか良いです。ただし無音時の「サー」というノイズは大きめに感じましたが、このアンプの回路構成上仕方がないことのようです。どのみち音楽が流れているときは全く気にならないので心配には及びません。
部品調達
2SK117-BL、2SK30A-GR、ケース以外はすべて自分で調達しました。使用した部品は以下のとおりです。(価格は2020年8月2日調べ)
画像をクリックすると拡大画像が参照できます。
以下、下側の表のグレーアウトしているものの補足です。
購入先に頒布とあるものは、ぺるけ氏から頒布して頂いたものです。
マルツ電子やカーマは近所の店舗を利用しましたが、それ以外の購入先はすべて通販を利用しました。
また、単価は購入数量で変動するものもあります。さらに1個単位で購入できないものもあるので、この合計金額ですべての部品を揃えられるわけではありません。
下表に各部品の購入先のリンクを用意しておきました。一応確認はしましたが、リンク間違いやリンク切れ、最新情報ではないものがあるかもしれません。下表のリンクを通販に利用する場合、部品の型番とリンク先の表示内容とが一致しているかをよく確認して下さい。(リンク先は2020年8月2日調べ)
品名 | 型番 |
---|---|
真空管 | 6N6P |
電源トランス | H24-0101 |
アウトプットトランス | KA8-54-P2 |
JFET | 2SK117-BL |
JFET | 2SK30A-GR |
MOS-FET | 2SK3563 |
トランジスタ | 2SC1815-Y |
高耐圧ファストリカバリ・ダイオード | 1NU41 |
整流ダイオード | 1N4007 |
一般小信号ダイオード | 1S2076A |
ツェナーダイオード | [HZ6B-1-E |
ツェナーダイオード | HZ16-2-E |
25回転半固定抵抗器 | 3296W-1-101LF |
1%級金属被膜抵抗器1/4W型 | MFシリーズ |
5%級炭素皮膜抵抗器1/4W型 | RD25 1.5MΩ |
1%級金属被膜抵抗器1/2W型 | MF1/2CC5602F |
1%級金属被膜抵抗器1/2W型 | MF1/2CC3303F |
5%級酸化金属皮膜抵抗器2W型 | MOS2C560J |
5%級酸化金属皮膜抵抗器3W型 | MOS3C561J |
5%級酸化金属皮膜抵抗器3W型 | MOS3C273J |
ポリプロピレンフィルムコンデンサ | 2A-UPZ-152JE |
アルミ電解コンデンサ | 2EUTWHM100M0 |
アルミ電解コンデンサ | 2EUTWHM470M0 |
アルミ電解コンデンサ | 2EUTWHM101M0 |
アルミ電解コンデンサ | 1AUTES471M0 |
アルミ電解コンデンサ | 1HUTES471M0 |
アルミ電解コンデンサ | 1AUTES102M0 |
スパークキラー | 125MCRA104120MDP B0768 |
20P平ラグ | L-3522-20P |
15P平ラグ | L-3522-15P |
T-3P縦ラグ | L-3552-2P |
T-5P縦ラグ | L-3552-4P |
ヒートシンク | 1919-9 |
放熱ラバーシート | TO-220H |
MT9モールドソケット | S9-241B-00 |
絶縁スペーサ | DT-620 |
絶縁スペーサ | DT-621 |
ジュラコンジョイント | BS320E |
LED内蔵ロッカースイッチ | DS-850K-S-LG(BLACK) |
4極双頭トグルスイッチ | MS-500PB |
ボリューム | RK27114A0A50K |
ツマミ | 25X15BS-7 |
ジョンソンターミナル(赤) | MB-126-G(RED) |
ジョンソンターミナル(黒) | MB-126-G(BLACK) |
ジョンソンターミナル(黄) | MB-126-G(YELLOW) |
TRSジャック(絶縁・SW付) | J-56D |
XLRコネクタ | NC3FD-LX |
XLRコネクタ | XLR-5-31-F77 |
テストピンジャック(黒) | MK-617-1 |
ヒューズ ホルダー | F-7155 |
ヒューズ | MF51NR 250V 1 |
ACインレット | AC-M01SB02 |
ACメガネコード | SH-015+SH-103 |
銅線 | φ0.28mm |
銅線 | φ0.45mm |
銅線 | φ1.2mm |
ケース | |
ゴム足 | A-P4 |
コードクリップ | PE-714NH |
コードクリップ | PE-715NH |
コードクリップ | PE-717NH |
ビニル絶縁電線 | KIV 0.18sq |
ビニル絶縁電線 | KV 0.3sq |
熱収縮チューブ | FZ 2.0 |
十字穴付き皿小ねじ | M2.6x8 |
ばね座金 | M2.6SW |
ナット | M2.6N |
十字穴付きなべ小ねじ | M3x12 |
十字穴付き皿小ねじ | M3x10 |
十字穴付きトラス小ねじ | M3x5 |
座金組込十字穴付きなべ小ねじ | M3x6-P2 |
座金組込十字穴付きなべ小ねじ | M3x8-P2 |
座金組込十字穴付きなべ小ねじ | M3x8-P3 |
座金組込十字穴付きなべ小ねじ | M3x10-P3 |
ばね座金 | M3SW |
ナット | M3N |
品名 | 型番 |
---|---|
1%級金属被膜抵抗器1/4W型 | RLCシリーズ |
1%級金属被膜抵抗器1/2W型 | MF1/2CC5602F |
1%級金属被膜抵抗器1/2W型 | MF1/2CC3303F |
5%級酸化金属皮膜抵抗器2W型 | RLF2SJ 56Ω |
5%級酸化金属皮膜抵抗器3W型 | RLF3SJ 560Ω |
5%級酸化金属皮膜抵抗器3W型 | RLF3SJ 27KΩ |
ビニル絶縁電線 | UL1007 AWG24 |
ビニル絶縁電線 | UL1007 AWG22 |
入手の難しい2SK117BLや2SK30A-GR、1NU41の代替品についてはぺるけ氏の代替部品の案内ページをご覧下さい。 また、ケースの頒布はすでに終了となってしまったため、残念ながら自作するしかありません。
おわりに
2019年初頭に6N6Pシングルミニワッターの製作から真空管アンプの魅力にどっぷりハマってしまい、遂に自分が定めたゴールに到達しました。今後はこれらの製作で得た知識をもとに電気回路設計を含めた完全自作にチャレンジしてみたいと思います。
このような楽しみを得られたのはひとえにぺるけ氏のお陰です。この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。