なじょんしょば

99年式GSX1300R、自作オーディオ、カメラに関するあれこれ

0dB HyCAAヘッドホンアンプ(テストベンチ-トランス電源)

  更なる高みへ

0dB HyCAAを作ってみたものの、巷で良く目にした「クリアで聴き心地が良くずっと聞き続けたい音」というレビューに対し、自分の中での印象はそれほどでもないという事がずっと引っ掛っていました。FET式差動ヘッドホンアンプ の聴き心地の良さや、HPA-12ヘッドホンアンプ(Class A Ver.)の圧倒的なクリアさに比べるとどうしても0dB HyCAAはガヤガヤした雑味があるように感じていました。

 

そこで、たかじんさんのHPには0dB HyCAAは電源を変えると音が激変するという記事があったので作ってみることに。製作にあたってはたかじんさんのHPにある掲示板で技術的なアドバイスを受けられたことにこの場を借りてお礼を申し上げます。
基板頒布だけでもありがたいことですが、更にこのようにアドバイスを頂けるというのは非常に心強く、私のような電気回路素人でもアンプを自作してみようという一歩を踏み出す大きな勇気になります。。

 

さて、たかじんさん推奨の電源は下図のような構成です。

 

イメージ 1

AC100Vをトランスで降圧してダイオードブリッジ回路で全波整流してDCを作り出すところまでは普通で、通常ならその後は3端子レギュレータで更に降圧・安定化してDC12Vを生成します。
しかしこの電源はnonNFBと言って、ツェナーダイオード(ZD)で基準電圧を作って、ダーリントン接続したトランジスタで降圧して何となくDC12Vを生成する回路です。
AC100V側の変動や温度によるドリフトが発生しますが、3端子レギュレータによる安定化電源よりも音質が伸びやかになるとのこと。理論的に説明は出来ないけれども多くの経験・実績はあるようで、絶対的な数値上のスペックが音質の良さに繋がらないというオーディオ独自の不思議な感じがします。

 

ちなみにたかじんさんの作例ではトランスはHT121を1つ使用しています。HT-61を直列に繋ぐ場合は、トランスの極性を合わせないと大変な事になるので注意して下さい。私は事前にオシロスコープでトランスの極性を調べました。
この辺りは別記事にて紹介したいと思います。

 

イメージ 2

電源基板は秋月C基板で製作することにし、実装はご覧の通りとしました。
たかじんさんのHPの回路図にはC3の記述はありませんが、前述の掲示板でアドバイスを受けたところ、電源基板とアンプ基板の距離が離れる場合は最低でも100μF程度の電解コンデンサを入れると良いとの事でした。
丁度手持ちに470μF 16Vの電解コンデンサがあったのでこれを使うことにしました。

 

使用した部品は下記のとおりです。

 

SBD : 11EQS04G 日本インター
C1 : 1EUTES472M0 東信工業
C2 : 1EUTRS331M0 東信工業
C3 : 1CUTES471M0 東信工業
R : MF1/4CC1501F KOA
ZD : 1N4743A FAIRCHILD

 

ヒートシンクは当初SP111K(水谷電機工業)を使用しましたが、Q2があまりにも過熱したのでアルミ押し出し品の大きな物に変更しています。
掲示板でヒートシンクについても注意を受けていましたが、まさかQ2がこれほど熱くなることは想定していなかったので、C3の位置をもう少しずらしておけば良かったと思いました。

 

イメージ 3

 

イメージ 4

実製作ですが、セオリー通り背の低い部品からはんだ付けします。

 

イメージ 5

部品点数も少ないのであっと言う間に完成して、0dB HyCAAと接続。
実験したかったので、ACアダプターが接続できるようDCジャックも残していますが、同時に接続すると危険そうなのでお勧めはしません。私もいずれ撤去する予定です。

 

製作したトランス電源の出力は以下の通りです。

 

【無負荷・冷間時】
トランス1次側 : AC106.8V
トランス2次側 : AC15.01V
整流後 : DC21.54V
ZD両端 : DC12.94V
出力 : DC12.02V

【0dB HyCAA接続・冷間時】
トランス1次側 : AC104.3V
トランス2次側 : AC15.44V
整流後 : DC19.09V
ZD両端 : DC12.93V
出力 : DC11.59V

【0dB HyCAA接続・定常時】
トランス1次側 : AC103.7V
トランス2次側 : AC15.55V
整流後 : DC19.25V
ZD両端 : DC12.98V
出力 : DC11.72V

 

DC12Vを若干下回りますがこれは設計の仕様通りです。ZDの両端電圧があと0.3Vほど高ければ丁度DC12Vとなりそうですが、選別も大変ですし、0dB HyCAAの動作上は問題ないのでこのままとしました。

 

試聴結果ですが、以前感じていたガヤガヤした雑味はすっかり無くなり、深く余韻に浸れる音質に。これには驚きました。
また、真空管オペアンプ交換で遊んでいた頃は真空管はMATSUSHITA、V-AmpはNJM5532DD、C-AmpはNJM4556ADという構成がお気に入りでしたが、ここで真空管TOSHIBAへ交換すると新しい発見が。MATSUSHITAよりもクリア感は低下しますが、音に艶と温かみが出てとても聴き心地のよい音質に大変化。とにかく聞いていて気持ちが良いです。
また、トランス電源に変更することで真空管オペアンプを交換した際の音質の差も大きく出るようになりました。

 

部品を交換したり電源を交換したりと一通り遊んだ訳ですが、これでようやく0dB HyCAAに期待していた音質にたどり着くことが出来ました。FET式差動ヘッドホンアンプ や、HPA-12ヘッドホンアンプ(Class A Ver.)にはないこの独特の柔らかさ。暫く癖になりそうです。
使い続けるうちにまた好みが変わって真空管オペアンプを交換するかもしれませんが、とりあえずこの構成で落ち着きたいと思います。