なじょんしょば

99年式GSX1300R、自作オーディオ、カメラに関するあれこれ

トランス式USB DAC(TpAs-203 Ver.-ケース加工編)

  はじめに

 

イメージ 1

音楽を収録する記録媒体といえばCDですが、CDには2chステレオ音声がデジタルデータ(リニアPCM形式、サンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16bit)として記録されています。そしてCDプレーヤーはCDを読み取ってデジタル信号生成してD/Aコンバータ(デジタル-アナログ変換回路)でアナログ音声信号に変換し、そのアナログ信号をアンプで増幅してスピーカーを駆動します。
ちなみにD/Aコンバータを略してDAC(ダック)と呼んだりもします。

 

ところでCDのデジタルデータはPCへ保存することも可能です。そしてPCにもDACとアンプが内蔵されているのでノートPCならば組み込まれているスピーカーで音楽を再生したり、イヤホンを接続して音楽を楽しむことができますが、その音質にはガッカリされた方も多いのではないでしょうか!?

 

しかしUSBを介してPCに接続できるDAC(USB DAC)を用意し、さらにUSB DACをアンプに接続してスピーカーやイヤホンを鳴らせば非常に上質な音楽を楽しむことができます。
この方法ならばCDの出し入れの煩雑さやCDプレーヤーの置き場所といった問題から開放され、かつ上質な音楽を堪能できるというオーディオスタイルを構築出来るわけです。

 

前置きが長くなりましたが、前述のUSB DACを使って以前製作したヘッドホンアンプをPCと接続できれば更に楽しい音楽ライフを送れると思い、またもやぺるけ氏のHPを参考にトランス式USB DACなるものを製作することにしました。

  レイアウト検討

トランス式USB DACの特徴は秋月電子から販売されている廉価なUSB DACキットであるAKI.DAC-U2704を使い、そのアナログ音声信号の高周波ノイズをLPF(ローパスフィルタ)でカットして、高周波ノイズが除去された音声信号をトランスで昇圧するというものです。
このローパスフィルタはコンデンサと抵抗を組み合わせたCRフィルタバージョン、インダクタとコンデンサを組み合わせたLCフィルタバーションの2通りがぺるけ氏のHPで紹介されています。LCフィルタバージョンが最新ですが、私は使用するトランスの関係もあってCRフィルタバージョンで製作することにしました。

 

イメージ 2

まずはケースに部品を仮配置します。
右の黒い基板がAKI.DAC-U2704、基板に乗った灰色の箱2つがトランス、あとはキャノンコネクタとUSBコネクタ、縦ラグ板、ケースでこれらは自分で調達した部品です。CRフィルタ関係の部品はこれまたペルケ氏の頒布を利用させて頂きました。
今回入手したトランスはタムラのTpAs-203というモデルで、Yahooオークションで入手した中古品です。このトランスについてはLCフィルタバージョンの仕様が公開されていないので、しかたなくCRフィルタバージョンで製作することにしたわけです。回路定数をご自身でチューニングできるスキルのある方ならLCフィルタバージョンにトライしてみるのも良いかもしれません。

 

イメージ 3

今回はケースに入れる部品が少ないこともあり、実装を始める前にケースの設計を行いました。
USBケーブルの取り回しとトランスまでの配線を考慮して、仮配置の状態からAKI.DAC-U2704の位置と向きを変更しています。

 

イメージ 4

 

イメージ 5

ケース内のレイアウトは十分な空間的余裕があり干渉は皆無と予想されたので、ケース背面に取り付ける各コネクタだけ現物合わせの確認を行いました。
確認の結果、コネクタが床に近すぎてバランスが悪いのでもう1 mm上方にずらす事に。図面と実物では雰囲気が異なるというのはよくある話しで、パネルデザインに悩んだらこのように試作してみることを強く推奨します。

 

イメージ 6

図面の寸法通りにハイトゲージでケガキます。今回も外観面じゃない方から加工します。

 

イメージ 7

 

イメージ 8

ヘッドホンアンプはオートポンチ使いましたが、今回はピンバイスを使って1.5mmのドリルでセンタ穴を開けることにしました。
センタ穴加工はポンチよりも気を使いますが、センタ穴の効果は抜群でその後の加工時にドリルの歯が逃げることは皆無で穴あけの位置精度が向上します。

 

イメージ 9

 

イメージ 10

センタ穴の効果もあってかヘッドホンアンプよりも綺麗に仕上げることができました。
φ3.5の穴のバリ取りは10mmのドリルを使いましたが、手でドリルを軽く回してドリルの自重だけでバリを取るようにすると綺麗に仕上がります。決してドリルを強く押し当ててはいけません。
φ24の穴はホールソーを使い、バリ取りには棒やすりを軽く当てました。これもヤスリを強く押し当てるのではなく表面を滑らすように極軽くヤスリを当てると綺麗に仕上がります。

 

イメージ 11

ケースの各部品のアースの導通を確保するためにルーターアルマイトを剥がします。写真を撮り忘れてしまったので、各パネルのアルマイト剥離と導通確認はヘッドホンアンプの記事を参考にして下さい。
ちなみにルーターの先端近くにアースポイントはトランスのアース用です。

 

イメージ 12

フロントパネルは外観面側から加工します。これはドリル加工の場合は加工面の方がバリの出方が少ないからです。
写真のように鉛筆で目印を付けて0.5mmのドリルでセンタ穴を開け、1.5mmのドリルでドリル加工です。小さな穴なのでどちらもピンバイスで穴を開けました。

 

イメージ 13

外観面側に出たバリはデザインナイフで除去しました。写真のように穴に刃を入れて極軽くデザインナイフを回します。
外観面側はシャープな穴に仕上げたかったので、ドリルによるバリ取りはしませんでした。

 

イメージ 14

穴の内面は銀色のアルミ地が出てみっともないので、Mr.カラーの艶消しブラックを塗りました。
完成状態ではこの穴からLEDの光が見える形になります。黒アルマイト仕上げのケースを使用した場合、このように何も取り付けない穴というのは黒く塗った方が見栄えが良くなると思います。

 

イメージ 15

 

イメージ 16

設計寸法はご覧の通りです。
今回は正真正銘フルオリジナルで特に参考にしたものはありません。